この子の七つのお祝いに

この子の七つのお祝いにの歌詞解釈を今調べてたんですよ・・・

やばい・・・深い・・・


↓知ってても知らなくても読んでくれたらありがたいです^^


貴方の遺愛のぼんぼりに 静かに、真剣に灯を点して 雨の夜を過ごす

私と子と(しとしと)色んなものが入り交じる 雨の音に心から願う

「散華と散り敷く涙も枯れた」(弔いの花びらのように舞い散った涙 流れすぎてもう枯れた)

 

あれから幾年・・・もうすぐ七年 あなたが残したちいさい幸せ噛み締めながら(ぼんぼりの傍で髪を整える)

夜な夜なこの子の為にと子守歌を口ずさむ

 

 

「この子の稚き ててが握る紅差し指は禍福よ」

(この子の小さな 手が握る薬指は災難と幸福)

 

 

雨の音に紛れて、背後を四肢が徘徊する

 

寝室の灯りはゆらゆらと寂しく 天井を伝う影が眼下に広がる

飛び散る手足が頭について

鋭い眼光と 耳の奥を舐めるような「いひひ」という奇声

 

毎朝毎晩下を掻きむしって 集団で騒乱を起こし 反り返る

 

もういいかい もういいかい 7つになるその子を 神の子をこちらによこせ と笑む

稚拙な吐息で炙るように責め立てられても

この子は守る・・・

 

うしろの正面だあれ

 

この子を抱いて私は逃げた

白黒キネマの一つの情景のような廃工場から流れる煙がこの子を包む

右手 左手 足 首 心音

蛇口の後ろに隠れていた少女が飛び出し 小さなこの子に襲いかかり

少しずつ蝕んでいく

 

この子の笑みはあの人に似ている

一切誰にもやらぬ!

あなたが残した小さい幸せを守るために 白い鶴を折った

 

誰もいない、下水道へ逃げこむ

「溢れる汚水に片身を浮かせて!恥ずべき奴だ!」 

と ゲラゲラ称える狐憑きの集団に背を向け

悔しくて辛くて・・・唇を噛みちぎり ぼんぼりを抱えて慟哭した

 

ああ 静かに流れるこの子の泣き声が

反響していくつにも重なって聞こえる

小さな「貴方」の・・・貴方によく似たこの子の手を引き 生きていく

ひらひらと椿の花びらを撒き もうすぐ七回忌になる貴方の冥福を祈った

同じ重さの手のひらに そっと頬を寄せ

ぼんぼりに火を灯す

 

ふたりの祝賀が終わった頃、にわか雨は次第に消えていった

 

白黒キネマの一つの情景のように廃工場から流れる煙がせわしく昇る

金切り声をあげる狐憑きの集団は大路に集まり各々の感情のままに散り乱れ その列は縺れて不揃い

だが刻々と、次第にその影は近づいてくる

たくさんの視線が私達を睨んでいるのが解る

奥歯をならして崩れ落ちる夫婦が 私の近くで息をする

手を袖に入れ足踏みする翁が

暇を持て余している媼に耳打ちをしている

 

 

狐「ほらほら はやく 息 とめなくっちゃあ!背中にしがみついて 首刈るぞ」

 

 

死者の名を書き記した帳面をくわえた白い髪の少女が神木を登って爪先で立ち、絶叫する

私は咽び泣き この子を抱き締めた

狐憑きの集団は垣のように横に並び、這いずり回って奇声を発する

逃げても・・・逃げても・・・ この子を掴んだ

私は嗚咽しながら叫ぶ

「嗚呼 この子だけは なくさぬように」

 

助けて!

 

 

女「耳 鼻 目 口 髪の毛一本 誰にもやらぬ!」

狐「おまえが望んだ幸せ ひとつも ひとつも 叶わぬ」

 

女は・・・私は髪の毛をむしって嗚咽する

それを見た少女はもんどりうって笑う

老夫婦「隠してしまえよ この子が七つになるまで」

狐の手から 老夫婦がこの子を解き放ってくれた・・・

女「ああああ貴方!鯉のぼりが空に昇って行くまで!お願い!」

そうね 隠してしまいましょう! この子が七つになるまで! あの人が安心して天に昇っていけるまで!

 

 

「この子に幸せの風が吹きますように」

 

 

ああ 小さなあなたが ぼんぼりで足下を灯しながら歩く

その背中を見て無事を祈った

 

この子の七つのお祝いに 小さな折り鶴をひとつ 水上から流した

幸せ込めて ・・・貴方のたてた鯉のぼりは 風の中を泳いでいる

 

そして夜明けのやわらかい光が差し込み

貴方が生前大事にしていたぼんぼりの明かりを消し去り

私は大路を駆け抜けた 不安は拭われ 心も落ち着いた

神の木が連なる あの子のいる家へ 静かな家へ 私は狐憑きの前から消えた

狐の列は歪にくねって辺りを見回している 時折くるくる廻り 笑みながら

 

押し入れを開けると この子は安らかに眠っていた ・・・疲れていたのね

 

おやすみよ すやすやと かわいい子

あなたは 目を閉じて

ただすやすやと お眠りなさい

 

崩れた積み木の下でこの子を抱く 狐に憑かれた子は

逃げていく

 

神木から落ちた 少女の顔はただれて泡を吹き 金切り声で笑う

浅黄の肌をした男と女は利休鼠色の眼球をこすって痙攣

耳を劈く叫び声に驚きちらっとそちらに目をやると その先には

両の目を縫い合わせた狐憑きの行列が 二つに分かれ この子を引き取ってくれた老夫婦が現れる

 

もういいかい

狐「村のしきたりを破ったお前達は、死刑だ」

まあだだよ

老夫婦「待って下さい!私達はただ・・・!」

もういいかい

狐「それが決まりだ」

もういいよ

狐「言い訳など聞く必要もない」

 

二人の首が転がる・・・

 

 

もう、この子は七つになった

もう、狐に追いかけられることもない・・・

 

 

「ああ この子が大きくなれば あなたと過ごした日々がまた」

 

 

瞳は刻んだ 硝子のように澄んだ 脆くも美しい回想

だが、空を泳ぐ鯉のぼりだけは知っていた

 

あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・

あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ!

 

あ!

 

この子      よく       見たら

 

あ!あ!あ!あ!

 







                お人形



登場人物は

・母
主人公。彼を亡くしてこの子を育てる。
・この子
彼が残したちぃさい幸せ。母の生甲斐。
・貴方
主人公の彼だった人。


背景的には半端に発達した工場からの排気、汚水が原因の公害病で子供が病気になる。
「この子だけは…」の時点で子供は死ぬのですが、
それを受け入れたくない母は人形を子供の代わりに育てるのです。7つまで。
せめて死んだ子供があの世で幸せになれますようにと願いながら。
「似ていた」を強調したのは過去形である所に注目、ということで。
(本当は過去形の用法で使っているわけではないと思うのだけど)
ある日気付くのですね。それは死んだ「貴方」や子供からのメッセージでもあるのかなと。


さて、彼女が育てていたのは、さぁ、何だったのでしょう?
僕の中では、
A.「最初は子供を育てていたが、病気で死ぬ→代わりに人形抱いてた→気付いて自分でビックリ!」
B.「子供を育てていて、病気になってしまったので押し入れか何かに隠してて気付いたら死んでる!」
C.「最初から妄想妊娠。気付いたらずっと育ててきたと思ってたこの子、お人形!!」
のどれかだと思うんです・・・

Cが一番エグイですね・・・






・・・この子・・・・・よく・・・見たら・・・

あーあーあーあーー・・・

お人形・・・